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Wang, H.*; 大津 秀暁*; 千賀 信幸*; 川瀬 頌一郎*; 武内 聡*; 炭竃 聡之*; 小山 俊平*; 櫻井 博儀*; 渡辺 幸信*; 中山 梓介; et al.
Communications Physics (Internet), 2(1), p.78_1 - 78_6, 2019/07
被引用回数:8 パーセンタイル:56.2(Physics, Multidisciplinary)陽子(あるいは中性子)過剰核の効率的な生成経路を探索することは、原子核反応研究の主な動機のひとつである。本研究では、Pdに対する核子当たり50MeVの陽子および重陽子入射による残留核生成断面積を逆運動学法によって測定した。その結果、重陽子入射ではAgやPd同位体の生成断面積が大きくなることを実験的に示した。また、理論計算による解析から、この生成断面積の増大は重陽子の不完全融合反応に起因することを示した。これらの結果は、陽子過剰核の生成において重陽子のような弱束縛核の利用が有効であることを示すものである。
西尾 勝久
原子核研究, 62(1), p.89 - 94, 2017/09
超重元素の生成断面積は極めて小さいため、生成断面積の絶対値とその励起関数を少しでも正確に予測することが元素合成の戦略をたてる上で重要である。ここでは、超重元素の生成断面を決める要因の一つとなっている"融合確率"、すなわち反応を起こす2つの重原子核が接触してから複合核を生成する確率を決定する方法について議論する。
早川 岳人; 岩本 信之; 静間 俊行; 梶野 敏貴*; 梅田 秀之*; 野本 憲一*
European Physical Journal A, 27(S1), p.123 - 128, 2006/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Physics, Nuclear)ビックバンで、水素からリシウムまでの軽元素が生成された。より重い元素は、銀河系内に存在した、さまざまな恒星の中の核反応で生成され、星間物質に蓄積されていった。その中から、約46億年前に太陽系が誕生した。そのため、太陽組成には過去に行われた銀河系内の元素合成が記録されている。鉄より重い重元素の約99%は、2つの中性子捕獲反応過程で生成されたことが判明している。その一方で、中性子では生成できないp核と呼ばれる原子核が存在しており、過去50年間にわたり天体起源が研究されてきた。これまで提案された仮説は、高エネルギー宇宙線により破砕反応,中性子のX線バーストによる急速な陽子捕獲反応,超新星爆発の光核反応による生成,超新星爆発のニュートリノ反応による生成等である。われわれは、太陽組成から、このp核が、中性子で生成された種となる原子核から、超新星爆発のような膨大な光による光核反応で生成された証拠を発見した。
中川 庸雄; 千葉 敏; 早川 岳人; 梶野 敏貴*
Atomic Data and Nuclear Data Tables, 91(2), p.77 - 186, 2005/11
被引用回数:24 パーセンタイル:79.73(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)評価済核データライブラリーJENDL-3.3をもとに、中性子捕獲反応, (n,p), (n,), 核分裂反応及び幾つかの閾反応について、1keVから1MeVの温度範囲でマックスゥエル平均断面積と天体学的反応率を計算し、表及びグラフに示した。計算したマックスゥエル平均断面積をほかの研究者の値と比較し、それらの差異がs-過程元素合成に対するその影響を議論した。
早川 岳人; 静間 俊行; 梶野 敏貴*; 千葉 敏; 篠原 伸夫; 中川 庸雄; 有馬 大公*
Astrophysical Journal, 628(1, Part1), p.533 - 540, 2005/07
被引用回数:22 パーセンタイル:51.52(Astronomy & Astrophysics)Re-Os系は、超新星爆発の急速な中性子捕獲反応過程(r過程)の発生年代を評価する原子核宇宙時計として重要である。近年、急速に発達してきた金属欠乏星と呼ばれる銀河系初期に誕生した恒星の同位体分離による天体観測や、原始隕石の同位体分析に応用可能である。その一方で、中規模の質量を持つAGB星の遅い中性子捕獲反応(s過程)による元素合成でも、Reが相対的に少量生成される。その影響を理論的に評価して差し引かないと、r過程の年代を正確に評価することができない。われわれは、これまで全く考慮されていなかったRe核異性体を経由してReがs過程で生成される可能性を発見した。これまで、考慮されていなかったのは、Re核異性体への中性子捕獲反応断面積が計測されていなかったためと推測される。そこで、原研の研究用原子炉を用いて中性子捕獲反応断面積の核異性体生成比を初めて誤差の評価とともに計測した。このデータをもとに、s過程の寄与,原子核宇宙時計に対する影響を理論的に評価した。
早川 岳人; 岩本 信之; 静間 俊行; 梶野 敏貴*; 梅田 秀之*; 野本 憲一*
Nuclear Physics A, 758, p.525c - 528c, 2005/07
太陽系に存在する重元素は、太陽系生成以前に存在した恒星の中で生成された。そのため、太陽系に存在する元素の同位体比(太陽組成)は、過去の元素生成を記録している。われわれは、太陽組成を分析して、p核と呼ばれる陽子過剰領域側に存在する安定同位体と、s核と呼ばれるベータ安定線に存在する安定同位体の比に、スケーリング則が存在することを発見した。これは、p核が、超新星爆発のような膨大な光が発生する環境下で、s核から光核反応で生成されたことを示す証拠である。これは、過程と呼ばれる元素合成モデルと一致する。また、過程において生成されるp核とs核の比が広い質量領域にわたって一定であるという過程の普遍性を提案する。さらに、このスケーリング則を応用することで超新星爆発の新しい原子核宇宙時計を提案する。
羽場 宏光*; 永目 諭一郎
現代化学, (405), p.32 - 38, 2004/12
原子番号104を超える超重元素の合成と化学的性質に関する最新の研究情報を解説する。なかでも理化学研究所や、ロシア原子核研究所での最近の113番元素よりも重い元素合成に関する成果を紹介する。また110, 111番元素の命名状況について説明する。一方、化学的性質に関する研究では、原研での最近の104番元素ラザホージウムの溶液化学研究の概要を紹介するとともに、ヨーロッパのグループによる108番元素ハッシウムの気相化学に関して概説する。最後に超重元素化学研究の展望を述べる。
早川 岳人; 岩本 信之; 静間 俊行; 梶野 敏貴*; 梅田 秀之*; 野本 憲一*
Physical Review Letters, 93(16), p.161102_1 - 161102_4, 2004/10
被引用回数:60 パーセンタイル:86.56(Physics, Multidisciplinary)太陽系に存在している重元素は、太陽系生成以前に存在した恒星中の元素合成過程で生成された。そのため、太陽系の元素比・同位体比(太陽組成)は、過去の元素合成過程を記録している点で重要である。鉄より重たい重元素の約99%は、s核,r核と呼ばれ、中性子捕獲反応過程によって生成されたと考えられている。その一方で、陽子過剰領域側には小さい同位体比(0.1%から1%程度)を持つp核と呼ばれる原子核が存在しており、その起源は確定していない。われわれは、太陽組成の解析を行い、p核と、p核より中性子数が2個多いs核の同位体比に比例関係が存在する経験則を発見した。これは、過程、すなわち膨大な光が発生する超新星爆発において、s核からp核が(,n)光核反応で生成されたことを示す証拠である。さらに、この経験則から、超新星爆発の環境に寄らない過程の普遍性,銀河系の化学的進化に対して重要な新しいパラメーター,超新星爆発の原子核宇宙時計、の3つの新しい概念を提案する。
丸山 敏毅; 千葉 敏
JAERI-Conf 2003-009, 233 Pages, 2003/08
第5回「極限条件におけるハドロン科学」研究会は、先端基礎研究センター第258回基礎科学セミナーとして、極限ハドロン科学研究グループの主催で2003年3月18日から20日にかけて、東海研究所にて開催された。高密度核物質やハドロン構造,ハイパー核,中性子星,超新星爆発,元素合成,重イオン反応,クォーク物質,QCDなど多岐にわたるトピックスについて33件の研究発表と討論が約50名の参加者によって行われた。また、今回は極限ハドロン科学研究グループの総括と、次期の多体ハドロン系理論研究グループに向けての展望をも目的として行われた。本レポートはその報告書である。
千葉 敏; 丸山 敏毅
JAERI-Conf 2002-011, 231 Pages, 2002/09
第4回「極限条件におけるハドロン科学」研究会は、先端基礎研究センター第235回基礎科学セミナーとして極限ハドロン科学研究グループの主催で2002年3月4日から6日にかけて東海研究所にて開催された。核子,ハドロンやクォークからなる多体系の極限条件における性質を理解するうえで重要な核物質,ハイパー核,高エネルギー核反応,量子色力学,中性子星,超新星爆発,元素合成や関連する有限核等のトピックスについて32件の発表が行われた。参加者総数は約50名で、盛況のうちに全日程を終えた。本レポートはその報告集である。
千葉 敏
JAERI-Conf 2000-011, 148 Pages, 2000/08
第2回「極限条件におけるハドロン科学」研究会は、先端基礎研究センター第179回基礎科学セミナーとして極限ハドロン科学研究グループの主催で、2000年1月24日~26日にかけて、東海研究所先端基礎研究交流棟において行われた。核子、ハドロン及びクォークから成る多体系の極限条件におけるさまざまな様相を理解するうえで重要な核物質、高エネルギー核反応、中性子星、量子色力学及び超新星爆発・元素合成等のトピックスについての27件の発表が行われた。参加総数は約50名で、盛況のうちに全日程を終えた。本レポートはその報告集である。
永目 諭一郎; 工藤 久昭*; 篠原 厚*
Radioisotopes, 49(7), p.363 - 375, 2000/07
超重元素の合成とその化学的研究に関する世界の現状を最新情報も含めて概観する。また日本における研究の進捗状況について述べ、最後に今後の計画を含めて、超重元素科学の将来について展望する。